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Case Study

総合病院

クライアント

総合病院

プロジェクト種別

人材離職を抑制し、地域競争力を持つ人事制度の構築

プロジェクト概要

当該総合病院は、地域で70年以上経営を続ける歴史ある病院であり、現理事長は3代目となる一族経営であった。同院は、整形外科・脳外科の評判が高く、年間の救急受入数は5,000件を超える強みを持って奮闘していたが、一方で医師・看護師の離職に歯止めがかからず、穴埋めをするために人材紹介会社に支払う費用の逼迫に悩んでいた。また、離職率が高く人材が定着しないことから、労働効率の低下を招き、強みである救急の受入れや、ベッドコントロールにも負の影響を与えていた。
 そこで当社に相談があり、調査分析を行った結果、役員等の経営思考の課題と、旧時代的な人事制度に課題があることが判明した。そこで、経営陣の経営思考の改善、人事制度の刷新を行うこととなった。

課題

同院は、年間救急受入数5,000件を超える、地域の基幹病院であったが、医師・看護師の離職に歯止めがかからず、人材採用に流れるコストは年間7,000万円を超える課題を持っていた。また、離職率が高く人材が定着しないことから、労働効率の低下を招き、オペレーションの崩れは、強みである救急の受入れを減らし、病床は空いていても受け入れができてないという状況に陥っていた。
 その病巣は、経営陣の「人」に対する考え方にあった。同法人は3代続く一族経営であり、歴史があるからこそ、雇用する人材の中には、親の代からの縁故で働く職員や、特定の職員のみを優遇した処遇が横行していた。それ以外のパフォーマンスが高い職員に正当な評価を行っていないことから、優秀な貢献度の高い職員から離職していくのである。それでも3代続いたのだからなんとかなるという甘い考えが蔓延し、若い理事長と看護部長のみが危機感を抱く状況だった。

解決策

当社では経営課題が明確になった後、まずは数百人に及ぶ全職員と面談を行い、日頃健在化することは先ず無い、各部門が抱える経営陣や雇用への不満を回収する地道な作業を行った。ここから得た情報を、特定の職員のみが優遇されるブラックボックス化された人事制度を改める新人事制度の策定に盛り込んだ。
 新人事制度の策定において特に重視したことは「コンピテンシー」である。コンピテンシーとは、ある成果を挙げるために必要不可欠な行動のことであり、一流の民間企業では既に導入が進んでいる。過去、高度経済成長期では、拡大を続ける市場に対してとにかく労働力が必要であったことから長期間大量の人材を囲い込むために終身雇用制や年功制が必要とされた時代もあった。しかしこれは、組織が永続的に拡大を続けるという誤った前提に立つ制度であり制度疲労を起こして崩壊をしつつある。その後、組織の成長拡大の速度よりも、昇給させざるを得ない人員の数が上回ると、その人員に与える役職や役割を増やさなければならないという時代に陥り、多くの企業や病院は、部長だけでなく医長を設けたり、部長と部長代理、課長と課長補佐を設ける等、迷走を続けた。一度役職を与え、又は給与を与えてしまうと、それを再変更することは容易ではない。その結果、同病院においても、雇用するだけ赤字の職員が増えてしまった。一方で、優秀な成績を収める職員は、高いコンピテンシーを発揮しながらも正当な評価をされず、貢献度の高い職員から離職する事態となっていた。
 今回の制度改正でコンピテンシーを重視したことで、正当に評価されるべき職員が報われる制度へと刷新することした。また同時に、過剰な優遇を受けてきたローパフォーマンスの職員に対しては、新制度に移行するものの急激な給与の低下が起きないよう「移行期間」を設け、現状の給与は次期評価次期まで維持した上で、後の評価時期までに現行の給与レベルまで評価が上がっていれば給与は現状維持し、評価が給与レベルに達していなければ将来的に減給、評価が給与レベルを超えていれば昇給するようフェアに対応することで、職員の納得度が高い制度変更が実施できた。

事例

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日本ヘルスケアソリューションズ―JHS