2025.05.23 トピックス, DX

在宅医療クリニックの集患にDXを活用
都市部デジタルマーケティング策

集患に悩む在宅医療クリニック
経営コンサルが支える都市部デジタルマーケとDXマネジメント
~Webマーケティング会社との違い~

イントロダクション

都市部の在宅医療クリニックは、需要の拡大と競合の増加という二つの波に同時にさらされています。高齢化の進展により「病院より自宅で療養したい」という患者や家族の声は増え続けています。一方で、都市部では訪問診療を提供するクリニックが乱立し、患者や紹介元にとっては「どのクリニックを選べばよいか分からない」状況になっており、この点は、日頃、しっかり差別化をして運営をする院長や事務長も、違う視点から悩み・共感するところかと思います。

院長や事務長の多くは「医療の質を高めれば自然に患者は集まるはず」と考えます。
しかし現実には、医療体制の充実だけでは集患は安定せず、情報発信やデジタルの仕組みが不可欠になっています。
その結果、Webマーケティング会社に依頼して「SEO対策」「広告運用」「MA(マーケティングオートメーション)ツール導入」を行うクリニックも増えています。

ところが――ここに大きな落とし穴があります。

課題

1. Webマーケ会社の常套パターン

一般的なWebマーケ会社は、SEO対策や広告運用のノウハウを持っています。
しかし、それは「一般的な小売業やサービス業」に当てはめたテンプレートであり、在宅医療クリニックという特殊な業態には必ずしもフィットしません。

例えば、SEO会社は「毎月◯記事のブログをアップすればSEOに強くなります」「広告を◯万円回しましょう」と定型的に提案します。
しかし在宅医療クリニックの患者や家族は、単に「検索で見つけたから」という理由だけで決めるわけではありません。
ケアマネジャーや病院との紹介関係(これを経営理論ではエコシステムと呼びます)が依然として重要であり、Web上の接点は紹介活動を補完する位置づけにすぎないのです。

2. MAツール導入の限界

MAツールを導入すると「見込み患者リストが自動で管理される」「ステップメールが配信できる」といった売り文句があります。
確かに、BtoB(消費者ではなく業者間)やECサイトでは効果があります。しかし在宅医療クリニックでは、患者は法人顧客ではなく一人ひとりの生活者です。紹介元のケアマネや、病院経由で来院するケースが大半であり、MAツールでリードを点数化して追いかけるような仕組みは現実に合いません

3. コストと効果の乖離

SEOやMAツールの運用を外注すると、月額5万~月額20万円の固定費が発生するのが一般的です。
しかしその投資が即座に「新規患者数の増加」に直結することはまれです。特に都市部の在宅医療は競合が多いため、「広告費をかければ患者が増える」という単純な世界は、とうの昔に終焉しています。
とは言え、IT戦略に長けていない医療専門職だからこそ、IT=お金をかければ効果が出るらしい。という前提に立ってしまいがちで、結果的に「お金だけ払い続けて効果が見えない」という状況に陥るリスクが高いのです。


解決策

経営コンサルティング会社によるDXマネジメントの必要性

ここで重要になるのが「単なるWebマーケ」ではなく、経営全体を見渡したDXマネジメントです。私たちは以下の観点でクリニックを支援し、
実際に多くの医療法人を、1院のクリニックから、2→3→5→10分院へと拡大させる原動力として成功させてきました。
当然、DXだけではなく、前提には、全方位的な経営ロジックや実践力が必要ですが。使い方次第で、集患・採用あらゆる点で大きなインパクトがあります。

1. 経営指標に直結させる

SEO順位や広告クリック数ではなく、実際の患者数・稼働率・在宅患者一人あたりの収益といった経営指標を最初に設定します。集患施策が経営にどう寄与しているかを数字で見える化するのです。

2. 紹介元とWeb施策の統合

Webから直接患者が来るのは全体の一部であり、多くは病院やケアマネからの紹介です。
そこで私たちは「紹介元管理のDX化」と「Web発信」をセットで設計します。
紹介元との関係をCRMで可視化し、どの病院・ケアマネが強いのかを分析。そのうえで「紹介元が患者に渡しやすいWebページ」「病院関係者が参考にするブログ記事」を作成します。これにより紹介とWebが連動する集患体制を作るのです。

3. 運用可能な仕組みに落とす

Webマーケ会社は「月に10本の記事」「広告◯万円」などを条件に提示しますが、クリニックの現場にその余力はありません。
私たちは「月1回のブログ更新」「Googleビジネスプロフィールの更新」「半年ごとのSEO見直し」といった現場で無理なく回せる運用設計、それ以上に、MAツール以上に、ケアマネや訪問看護ステーション、病院、地域包括支援センター等の「エコシステム」との関係性やシェアの見える化=課題と成果の見える化をにDXを活用し、競争戦略理論に落とし込み、実装力のある施策へと、PDCAサイクルに転嫁させていきます。

4. スモールスタートと効果検証

最初から月15万円の固定費を払うのではなく、小さな施策を実施し、患者数や問い合わせ数の変化をモニタリングします。効果があったものを拡大し、効果がなかったものはやめる。これは、地域性でだいぶ異なります。このサイクルを繰り返すことで、投資対効果を最大化します。


具体的な支援例

ある都市部で、5分院まで拡大した在宅医療グループでは、当初Webマーケ会社に月30万円を払い、SEO記事の外注と広告運用を行っていました。しかし半年経っても問い合わせ数は増えず、むしろ紹介元への営業リソースが減少し、全体の新規患者数が横ばいにとどまっていました。

そこで私たちが支援に入り、以下を実施しました。

  • サイトを再構築し、HタグやSEOを基本から整理

  • Googleビジネスプロフィールを徹底的に更新

  • 紹介元のデータをCRMに集約し、重点先を明確化

  • 月1回のブログを「紹介元が患者に配れる記事」として制作

  • 同時にSFA/CRMを在宅医療専用にカスタマイズし、KPIを明確に状況と課題を可視化、解決策へと落とし込む

その結果、新規患者の約60%がWeb経由(紹介元が見せたページも含む)で流入するようになり、広告費をかけずに問い合わせが増加。1年で1院あたりの患者数は300名から400名へ、年間看取り件数は70件から100件超へと伸びました。


まとめ

都市部の在宅医療クリニックにとって、集患の壁は深刻です。多くの院長や事務長は「Webマーケ会社に頼めば解決できるのでは」と考えますが、実際にはSEOやMAツールだけでは在宅医療特有の集患課題には対応できません

  • SEO順位より「患者数・稼働率」といった経営指標=KPIを優先すること(まずはKPIを特定すること)

  • Web発信と紹介元営業(エコシステムへの営業活動)を統合し、SFA/CRM(見込み客へのアプローチと既存客の関係性マーケティングの管理)システムを活用して、DXで見える化すること

  • 現場で回せる運用設計を行い、小さく始めて効果検証すること。最近の若手ドクターは、ITへの抵抗感がなくなってきましたが、現場に落とし込むことは簡単ではありません。

これらは単なるWebマーケティングの領域を超え、経営コンサルティング会社によるDXマネジメントだからこそ実現できる支援です。

在宅医療は今後ますます必要とされる分野ですが、経営を安定させるには「医療体制+デジタル+経営管理」の三位一体が欠かせません。
集患に悩むクリニックこそ、ぜひ一度、プロフェッショナル経営の視点で、DX戦略を設計することをおすすめします。

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日本ヘルスケアソリューションズ―JHS