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Case Study

外資系医療機器メーカー

クライアント

外資系医療機器メーカー

プロジェクト種別

バイオ製剤への自社容器製品の採用可能性の検討

プロジェクト概要

慢性閉塞性肺疾患や睡眠時無呼吸症候群治療に用いる、HOT・CPAP・NIPPV機器の企業間競争が激化する中、医療機器そのものの有効性としてはテクノロジーの限界にまで到達しており、これ以上の競争差別化は困難な状況に陥っていた。
今後シェアを獲得していくには、単なる治療有効性のみにあらず、医療従事者にとっての利便性や簡便性等の有用性を高めることが必須課題であった。
競合他社においては、既にIoTシステム技術を積極的に医療機器に取り入れ、利用データを抽出してデータ化することで、医療者のデータアクセシビリティを高め、適切な診断・医学管理に貢献する機器が既に上市さえれている。エラーデータや異常値を発した場合には、医療者にタイムリーにアラート通知するシステム等、様々な付帯機能も登場している。
しかし一方で、医師個人によってデータの見方や判断基準に曖昧な部分があり、また、患者の体動環境による影響までもをデータに取り込むことは困難であり、これらエラー・不確定データは、医療者の診断・管理を煩雑にさせてしまうという逆説的課題が発生していた。
膨大なデータを取ることに成功した現在、ここにAIテクノロジーを介入させることで、データをAI自身が整理・自動診断することで、医療者の診断基準を標準化するシステムの開発が求められていた。

課題

• 医療者によってデータの見方、判断基準に曖昧な点。
日本呼吸器学会ガイドラインが示すデータ診断基準は明確に示されているが、実臨床下においては、そのボーダーラインにいる患者への判断や、医療者毎のデータを読み取る技術の差が課題となっている。
• エラーデータや不確定データの存在と除去困難性
これによって、医療者の診断や管理を、より煩雑にさせてしまう逆説的課題が発生していた。
• 医療機器自体の治療効果が頭打ちとなり競合差別化が困難である点。
 HOT、CPAP、NIPPVは呼吸器治療ガイドラインでは強く推奨されているものの、その構造や治療アプローチは単純なものであり、各メーカーはその差別化に困難を強いられてきた。
医療機器管理料は一定額で固定されていることから、医療機関側は、医療機器管理料を得るための、機器レンタル料を如何に減らし利益を残すかが重要であり、メーカー側は、コストリーダーシップ戦略を取り価格競争に打ち勝つ以外シェアを高める方法は残されていなかった。緊急時対応の柔軟性迅速性ももちろんユーザー側の選択には入るが、サプライヤー側の価格差が大きい場合、価格が意思決定の最も重要なファクターとなってしまう。しかし、価格競争に飲み込まれたメーカーは、緊急時対応体制の確保や、企業利益率の確保がより一層困難となり、「売るだけ損」という状態を自ら生むこととなり、しかも全メーカーが価格競争の渦に飲み込まれたせいで、競争から抜け出せないジレンマが発生した。
そこで、各メーカーは、IoT技術の普及と共に、機器とカルテを繋ぎデータを共有する等の戦略を執ったが、逆にそれが仇となり、ユーザー目線では、データの氾濫によって煩雑さが増しメリットが少なく、サプライヤー側でも開発供給コストが上がったことに伴って価格を上げてもユーザーに理解を得ることができず、戦略とは裏腹にレンタル料が安いシンプルな機器のシェアが高まることになっている。

解決策

医療機器が獲得する膨大な患者データを、AIがガイドライン上の重症度分類・診断基準に基づいて自動診断の補助を行うシステムを開発することで、膨大なデータを属人的に解読診断するのではなく、オートマチックに通知することで、医療従事者の診断労力や、診断の曖昧さを除去する。
 労務コストや診断の曖昧さを大幅に軽減可能なAIを医療機器と連携させ付加価値を付けることで、レンタル機器を選定する上での、ユーザー側の意思決定に大きな影響を与え、コストリーダーシップ市場から脱却し、差別化を成功させる。

支援内容

• 各メーカーの既存機器の主要機能・特徴分析
• 呼吸器学会キーオピニオンリーダーに対して、各メーカー機器に対する評価アンケート調査及び、KOL同士の座談会を開催。定性的な評価を集計。
• 既存機器の課題点として、旧来通り属人的に患者データを把握すること以上に、IoTシステムにて24時間データ集計ができるようになったことで、むしろ膨大なデータを読み取らなくてはならない煩雑さが増し、付加価値や利便性の向上、診断への寄与は得られない結論を獲得。
• 膨大なデータに対して、AIが自動診断(診断補助)を行うことが可能となれば、価格以上のユーザーメリットが働くことが結論付けられたことから、コストリーダーシップ戦略から脱却する解決策であることを仮説付け。
• 国内外のAI専門システムエンジニアリングカンパニーのリサーチ
• COPD・SAS等の治療ガイドラインより重症度分類や診断基準をデータ化
• 実臨床下における症例100例程を採用し、専門医の診断基準をデータマイニングにより解析。
• 国外のAIシステムエンジニアリングカンパニーとアライアンスを締結。
• 既存AIに①②を読み込ませ、各症例のデータが①重症度分類や診断基準に準じた「状態表示」が可能となるシステム開発をアウトソーシング依頼
• 実臨床下の患者に対して、③にて開発したシステムを活用し、患者の病状変化によって現在の状態が、ガイドライン上のどの重症度に該当するかを自動で診断するよう検証スタディを実施

事例

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日本ヘルスケアソリューションズ―JHS